過敏性腸症候群
どんな病気?
過敏性腸症候群とは、繰り返す腹痛があり、それに伴う排便異常があるが、検査をしても特に異常が見つからない病態をいいます。
CMの影響もあり、出勤前にお腹が痛くなって下痢をする、などのイメージがあるかと思いますが、診断のために重要な症状は腹痛であり、便は下痢の場合と便秘の場合とどちらもありえます。
原因は消火器の運動機能によるもの、冷たい熱い、過食や運動など知覚・刺激によるもの、心理的原因によるものとに分けられます。
だれにでも一度は経験のある症状ですし、思春期など多感な時期だけ、もしくはストレスフルな時期だけ悩まされることもありますが、慢性的に持続すると治療が困難な例もあり、簡単な疾患というわけではありません。
どんな症状がでるの?
症状としては、腹痛がありそれに伴う便秘もしくは下痢があるという定義になります。特に心理的要因による症状出現の場合は、登校・出勤の前、週の前半、試験や会議・プレゼンの前などストレスがかかる場面で特徴的となります。
排便異常も下痢だけの人、便秘だけの人、下痢と便秘の両方が出てくる人とそれぞれです。
どうやって診断するの?
過敏性腸症候群の診断には診断基準が用いられます。
少なくとも半年以上症状が持続し、最近3ヶ月のうち、一週間に一日以上症状を認める。また、腹痛が、①排便に関連する、②排便頻度の変化に関連する、③便形状(外観)の変化に関連する、のうち2項目以上の特徴を示す必要があります。
また、通常の臨床検査で癌や炎症性疾患などの器質的疾患がないことも診断の条件となります。
どうやって治すの?
まずは薬での治療を第一に考えます。痛みをとるための薬、便の形状を正常化させるための薬、排便をコントロールするための薬などがあります。最近は今までと異なるタイプの新薬も発売されており、注目されています。
それで改善がなかった場合は、心理的要因の影響を考え、うつや不安症状に効果を持つ薬剤の投与を検討します。心理的な問題が解消されることで症状が治まる人もいます。
いずれの薬物療法も無効だった場合は、その他の方法として、簡易精神療法、認知行動療法、自律訓練法、催眠療法、マインドフルネス、絶食療法などがあります。
なにに注意したらいいの?
過敏性腸症候群はだれにも経験しうる症状なので、病気である認識が乏しいこともありますが、長い期間続く場合は放置せず、病気としての診断治療が重要ですし、治療により症状が改善することで生活の質も向上します。
患者さん自身は、この病気に科学的理由が存在することを理解し、本人の生活様式の改善が治療の基本であることを認識すべきです。
その上で信頼できる医師のもと、治療を行い症状の改善を目指すべきでしょう。
当院では・・・
当院では、詳細な病歴聴取により診断に当てはまるかを判断します。
診断された場合は、まずは薬剤から選択し、処方内用の見直しを含めて調整を行ってまいります。